鶴見線は、都心に近いローカル線として有名な路線。特に海辺にホームのある海芝浦駅は鉄道マニアでなくとも耳にしたことがあるのではないだろうか。海芝浦駅に行ったのはかれこれ15年以上前に一度っきり。現在はどうなっているものかと思い、鶴見線の他の支線と併せて再訪してみることにした。
鶴見線は上図の中央部にある、鶴見駅より枝分かれしながらクネクネと描かれている路線。事前情報が無ければ、何が何だかわからない路線図。
実際の運行系統は、鶴見駅から3つの終点のいずれかを結ぶというシンプルなものである。全ての列車が海芝浦、大川、扇町まで行けば話は早いのだが、弁天橋や武蔵白石、浜川崎などの途中駅止まりの列車も多いため、慣れていないと「この行き先はどこまで行くのか」と混乱してしまう。
海芝浦は海辺の駅&外に出られない駅として、大川は朝晩に数本しか列車の走らないレア行き先として、扇町は猫の住み着く駅としてそれぞれ有名である。今回は全ての行き先を巡ることにした。
鶴見駅から海芝浦駅へ
とある日の早朝、京浜東北線にて鶴見駅にやってきた。
京浜東北線のホームから階段を上がったフロアに、鶴見線乗り場が直結している。昔はここに乗り換え改札があったのだが、2022年3月より無くなってしまった。新しくアスファルトで舗装されている部分が改札のあった場所だろう。乗り継ぎ改札があったのは鶴見線の各駅が無人駅であることが関係していたのだが、Suicaが普及した今日では簡易Suica改札機にて対応可能と判断されたのだと思われる。
乗り換え口から正面に見えるのは3番線で、扇町行きの列車が停車していた。最初は海芝浦へ行こうと思っていたので、とりあえずこの電車を見送った。
次の海芝浦行きは、反対側のホームである4番線に停車していた。鶴見線は基本的に乗り換え口のある3番線に発着するが、平日朝のラッシュ時には4番線との交互発着が実施されている。この日は休日なので3番線発着が基本だが、休日ダイヤでは6時30分発の海芝浦行きのみが4番線発となっている。
鶴見線のホームは頭端式になっているため、平面移動で4番線に移動することができる。
4番線側には初めて来た。時計がいい味を出している。
このような案内も掲示されていた。80周年を迎えたのも12年前のこと。初めて乗った時は103系だったので、年表の左端の部分しか知らない。
また、4番線へは階段を使って行くこともできる。3番線の先頭側に階段があり、
このような地下通路を通って
4番線に出ることができる。ラッシュ時はごった返しそうだが、もしかしたら階段と平面移動で導線を分けていたりするのかもしれない(ただの予想)。
一通り見尽くしたところで、海芝浦行きに乗車した。緑文字となっているが、鶴見線の案内は3系統を3色LEDによってうまく色分けされている。ちなみに103系時代も幕の色を変えて案内されていた
列車は各車両に数人ほどのの乗客を乗せて鶴見駅を発車した。鶴見線の最高速度は85km/hということになっているが、そこまで出せるような線形でも駅間距離でもなく、のんびりとした走りで各駅に停まっていった。
海芝浦行きの電車は、浅野駅の構内で本線系統と分かれて行く。
休日の早朝だからか、浅野駅を出ると人は車内は貸切状態。実際に海芝浦で降りたのは、自分を含めて二人だけであった。
浅野駅から2駅、海芝浦駅に到着した。ホームのすぐ外が海で、曇り空ではあるが清々しい朝の風景である。
海芝浦駅の様子
海芝浦駅からは、首都高の鶴見つばさ橋を眺めることができる。位置的には、大黒PAの近くである。
さて、海芝浦駅は海に近い駅ということの他に、改札から外に出られない駅としても有名である。というのも、海芝浦駅は東芝の敷地内にあり、関係者以外は「改札の外=工場内」に立ち入ることが許されていないのである。そのため、
東芝のご厚意?で、鶴見線のホームの先に、駅に直結した形で海芝公園が整備されている。
なお、下の点字ブロックに沿って右に行くと東芝の工場の門があるが、そちらの方面に向けて撮影することは禁止されている。
海芝公園は開園が9時なので、この時は入ることができなかった。中を覗いてみると、結構奥まで道が続いているようだった。以前訪れた際にもあったはずなのだが、ここら辺がどうだったのか全く記憶がない。
海芝浦駅の駅名標。メディアなどに取り上げられるほど有名な駅なだけあって、関東の駅百選にも選出されている。
こちらに簡易Suica改札機があるため、隣にあった「出場」と共に忘れずにSuicaの処理をしておく。もしもICカードを持っていない場合は、隣の赤いポストで乗車駅証明書を取得しておけばよさそうだ。
この時の折り返し時間は15分。ホームに人がほぼいないため、色々見て回ったり、海の景色を眺めてボーッとしたりするには十分な時間であった。
折り返しは浅野駅にて下車
海芝浦駅を満喫したら、乗ってきた電車にて折り返しである。
海辺に佇む205系。帰りも勿論2名のみの乗車。
海芝浦支線の分岐駅である浅野駅にて下車した。
降り立ったホーム、なかなかすごい雰囲気だ。木造の屋根と、線路内に生い茂った草が一昔前の雰囲気を醸し出している。向かい側の3番線のホームの先、点字ブロックの続く先に改札口が見えている。
3番線へは構内踏切にて渡ることになる。奥に電車が止まっている島式ホームが、扇町⇄鶴見で使用している1、2番線。ちょうど1番線に扇町行きの電車が停車していた。
3番線側から、海芝浦方面を望む。こちら側だけローカル線っぽい雰囲気。先ほど降り立った4番線は、木造の小さい屋根がちょこんとあるだけのホームだった。
扇町方面のホームへは、3番線の改札口の脇から、また別の構内踏切を通って向かうことになる。
島式ホーム。かなり細く、黄色い線の内側には1人分のスペースしか無い。
扇町方面のホームを散策していると、ちょうど海芝浦行きの電車がやってきた。ここら辺の写真で位置関係がわかるかもしれない。右の写真の、左側に見えている建物の辺りに改札がある。
浅野駅→大川駅
浅野駅では19分の接続で大川行きに乗り継いだ。この電車は先ほど乗った鶴見行きの折り返しである。鶴見まで行って4分の間に出入場処理をして・・・というのもアリだったが、浅野駅の雰囲気を見てみたかったので今回は20分ほど駅構内で待つことにしたのである。
大川行きは橙色。
浅野駅の次の停車駅は安善駅。安善駅を出てしばらくすると、列車は渡り線を1個1個通過して南側の線路に転線していった。
そして武蔵白石駅の手前で本線から分岐し、大川駅に向けて進路を変えていった。扱い上は武蔵白石駅構内を通過していることになるのだが、駅構内に大川方面へのホームは無く、乗り換え駅としては機能していない。そのため、浜川崎方面→武蔵白石→安善→大川といった重複乗車が認められている。昔、車体が小さかった頃には武蔵白石駅に大川方面へのホームがあったため、その名残だろう。
武蔵白石〜大川は、道路沿いを走っていく。以前来た時は大川駅から武蔵白石駅まで徒歩で帰ったが、距離的には普通に10分程度で歩けるほどである。ただ、工場地帯なので雰囲気などは独特である。
列車は大川駅の単式ホームに到着した。そこそこの人数が乗車しており、仕事の人も見受けられたものの、休日に3本のみしか停車しないレアな列車の旅を楽しむ人が多いように感じた。
線路の先は草が生い茂っていた。ホームの先を降りると無人の改札口である。
大川駅の駅舎は簡易的なもの。この建物も、先ほどの浅野駅の屋根と同じように年季の入った木造である。
折り返しまで11分あったため、大川駅に到着する直前に通った踏切まで出てみた。ポツンと佇む205系の姿が絵になっている。
踏切まで出たのでそのまま武蔵白石まで歩いてもよかったのだが、今回は折り返しの電車で鶴見まで戻ることにした。
とりあえず一旦鶴見駅に到着。この電車は大川までもう1往復するようだ。この電車は朝の2本の大川行きのうちの2本目。鶴見の発車前には、「大川」の行き先標を撮影したりしている鉄道ファンで賑わっていた。
(後半へ続く)
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