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2021年11月:”タキシードボディのすごいやつ”に会いにいく

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イントロ

2021年3月に185系が定期運用を離脱したのは記憶に新しいところ。これからも特急車両の世代交代が進み、じきに乗れなくなる車両も出てくるのは必至である。そんなことに思いを馳せた時、身近に乗ったことのない特急車両があることに気づいた。651系である。651系は常磐線の”スーパーひたち”として、またJR東日本として初めての新型特急車両として、大々的にデビューした車両である。現在は657系に活躍の場を譲り、130km/hの快足を飛ばすような姿は見られなくなってしまっているが、高崎線系統の特急としての運用が続いている。651系も登場から30年以上経っていること、また昨今の需要減退の煽りで先行きが不安であることから、乗れるうちに乗ってしまうことにした。

高崎線の特急は”あかぎ”と”草津”の2種類に大別される。”あかぎ”は通勤用途がメインで、朝に東京方面にやってきて、夕方に高崎方面に帰っていく。一方、”草津”は草津温泉方面の観光用途がメインで、午前中に群馬の方へ行き、午後に東京の方に帰ってくる。平日の”草津”ならば空いているだろうとの目論見のもと、会社半休を取って、群馬から帰ってくる”草津”に照準を合わせて出かけることにした。

乗車駅の熊谷へ

“草津”へは、熊谷駅から乗車する。今回の行程だと高崎駅からの乗車も可能であったが、そうすると新幹線→草津の乗り換えが4分と余裕があまりないので、熊谷駅とした。今から思えば、4分もあれば乗り換え+写真撮影は十分可能であったのだが、熊谷駅〜上野駅でも50分程度の乗車時間となるので、わざわざ高崎駅から乗ることもないだろう。

熊谷駅へは新幹線で向かう。東京西部からの出発であるため、JR東日本の新幹線に乗るには大宮駅に出るのが大抵早い。武蔵野線へのアクセスが良かったため、武蔵野線で南浦和に出ることにした。

南浦和を後にする武蔵野線。205系が最盛期だった頃によく利用したが、現在は全て209系とE231系に置き換えられてしまった。豪快な走行音を聞けた時代が懐かしい。

南浦和からは京浜東北線で大宮に向かった。武蔵野線から大宮に行く場合、武蔵浦和で埼京線に乗り換えるか、南浦和で京浜東北線に乗り換えるかの二択となるが、今回スムースにいくのは南浦和ルートだった。どれも昼間は10分に1本レベルの本数なので、注意されたし。

新幹線の改札前にやってきた。案内板をうまく撮ることができなかったが、13時29分発の”あさま”に乗る。昼前の”とき”や”はくたか”は越後方面や北陸方面へ急ぐために高崎までノンストップであり、熊谷、本庄早稲田の各駅の利用客は”あさま”が拾うダイヤになっているようだ。数年前まではもっと本数があったような気がするのだが、定かではない。

ホームに上がると、E2系”やまびこ”とE3系”つばさ”の併結列車が発車するところだった。E2系は今年度いっぱいの運用、E3系も後継のE8系への置き換えが発表されている。

その後、乗車する新幹線が入線してきた。

北陸新幹線なのでこのフェイスだが、個人的には”あさま”としてはE2系のイメージがまだ根付いているので違和感がある。

北陸新幹線はE7系とW7系の2種類が運用されているが、車番を見るとやってきたのはE7系の模様。ということは”北陸ロマン”を聴けないのか。

一駅利用なので、もちろん自由席。1~5号車が割り当てられており、車内はそれなりに空いているのかと思ったが、窓側を確保するのがギリギリなほどの乗車具合だった。平日の昼間、鈍行タイプの新幹線ということで甘く見ていた。

大宮を出ると、高架脇をニューシャトルの線路が併走し、所々に上のような駅が見える。上越新幹線はニューシャトルの終点である内宿駅まで併走している。

やがて東北新幹線と分岐し、ここまで北向きに進んでいた線路は熊谷駅を目指し、北西方向に変わる。

ニューシャトルとの併走が終わると、特に特筆することはなく熊谷駅に到着。大宮駅から12分ほどなので、あっという間。

熊谷駅で下車したのは秩父鉄道に乗車した時の乗り継ぎ以来、2回目。

その秩父鉄道の改札、橋上舎のJRと少し離れたところにひっそりと佇んでいた。(この当時は)Suica等が使えないようで、切符を購入して有人改札を通るスタイル。

秩父鉄道の車両たち。手前に見える三形式は全て譲渡車両で、元は左からそれぞれ東急8090系、西武新101系、都営6000形。西武沿線民だった身としては、真ん中の車両が気になるところ。急行用として使用されているらしいので、夕方の当駅始発の急行に就くのだろうか。この日は651系に乗るので我慢。

651系に乗車

2番線のLED案内には651系のシンボルが描かれており、芸が細かい。1番線の列車はこの駅で特急を退避するようだ。

特急”草津”が入線してきた。

字幕の方向幕。自由席/指定席まで入れ込んでいる仕様は185系と一緒。このタイプって、例えば「5号車を指定席化します」といった変更にどこまで対応できるのだろうか。

今回はこちらからグリーン車に乗り込んだ。せっかくなので、評判高いグリーン車に乗ってみようとの思い。

デッキの様子。一つ一つの細かい設備は確認していないが、化粧板やら、ドアの取手のつき方とか、昔の特急らしい内装。

自動ドアから入ると、狭い荷物置き場のスペースを挟んでから、ずらりと座席が並んでいた。一両まるまる12列も並ぶグリーン車は圧巻である。

上野に向かって右側が1人席、左側が2人席。個人的には1人席はあまり好きではない。また、一昔前の特急とだけあって、重厚感のある大型のシート。

座ってみたところ。フルバックのシートで、プライベート感が高い。

車内でまったりし、この先の予定などを考えているうちに気がつけば赤羽付近。荒川を渡り、そして新幹線の高架が見えてきた。

尾久にある車両センターには、185系が停泊していた。185系の一部は651系が入る前の高崎線特急で運用されており、特急”水上”で一度だけ乗ったことがある。

尾久を過ぎると再び新幹線や京浜東北線が近づき、併走する。鶯谷付近のカーブをゆっくりと徐行しながら、15時26分に上野駅に到着した。堂々の地下ホームへの到着である。絵になる風景だが、残念ながら幕は回送表示になってしまった。

グリーン車にいたので普通席の混雑率などわからなかったが、意外と多くの人がホームに出てきた。平日ということでガラガラな車内を想像していたが、草津方面への観光需要、それも鉄道による輸送需要が想像以上に多いと実感した。(自分が低く見積もっていただけな気もするが)

もう一本、ベテラン特急に乗る

上野に到着した後は、次の行程があるので急いで上野東京ラインの乗り場に向かった。まだまだ日も沈まないので、どこか乗りにいけないか”草津”の車内で考えていたのだ。

乗るのは東京方面で、15時31分発の沼津行き。実はこの電車を大宮駅で抜いている。乗り換えだけなら両列車が同じホームに停まる浦和駅や赤羽駅が楽だが、上野駅への入線までが651系の醍醐味なので、上野駅での乗り換えとなった。

京浜東北線の快速は15時30分まで走っているのだが、平日は通過するのが御徒町のみ、土日に至っては上野〜東京を全て止まるという鈍足ぶりなので、急ぐ時は上野東京ラインが頼りになる。もしかしたら、上野東京ラインが出来たから京浜東北線の快速が遅くなったのかもしれない。

ホームの反対側には15時30分発の”ときわ”が停車していた。これを見た瞬間、”ひたち”の新旧車両を乗り比べるという手もあったなと思った。少し心惹かれたが、車内清算だと特急券が高くなるのがネックで、飛び乗るのは躊躇われた。E657系はまだまだ常磐線の特急として活躍しそうなので、乗ろうと思えば乗れそうである。もっとも、乗る機会のないまま10年経ってしまっているわけだが。

東京駅で乗り換える先は、総武地下ホーム。15時42分発の特急しおさいに乗車する。”草津”で上野駅に到着してから16分後であり、余計な待ち時間がなくスムースに乗り継ぐことができた。

“しおさい”には255系が運用に就いている。運用開始から16年となるようだが、まだ一度も乗れていない。

こちらは3色LEDの行先案内。字幕式、フルカラーLEDと比べると味気ないバージョンである。・・・昔見た時は字幕だったような気がしたが。

4号車のグリーン車。写真を撮ったものの、今回はグリーン車には乗らない。混雑している、長距離乗る、といったことがない限り、4列席の詰め込みグリーン車にはあまり心が惹かれない。

なんとなく撮ってみた、車内案内図。わざわざ車両の絵を入れ込んで、ビジーな案内にしているのは気になるところ。

先頭の9号車に乗車した。自由席は1号車と6-9号車。飛び地の1号車が空いているんだろうなと思いつつも、先頭の写真を撮ったついでに9号車に乗車した。複々線で緩行線が見える右側に陣取った。

自由席の座席。2人席の真ん中に肘掛けがないタイプ。そしてテーブルは小型のものがアーム内に格納されている。これだけ見ると、後に導入されたE257系500番台の方が快適であった。

列車はお馴染みの総武線を走行するため、特に特筆すべき点はなし。緩行線も数本抜いていった。総武快速と違うところを強いていえば、市川駅で快速を追い抜いたシーンだろうか。

東京駅から28分後、千葉駅に到着した。快速だと40分前後なので、速達効果は十分にある方だろう。

その後の帰路

千葉駅からは、蘇我駅を経由して京葉線で帰る。とりあえず次の発車が内房線だったため、3番線に降りた。

発車時刻の少し前に、8両編成の209系が入線してきた(写真は蘇我駅にて)。ホームには長蛇の列が出来ていた上に、千葉駅まで乗車してきた客が一気に吐き出され、ホーム上はひどい状況になっていた。電車の止まらない位置で落ち着くのを待ち、乗車した。

京成本線と少し併走する、進行方向右側で景色を眺めていたが、ドアの窓が異様に白く汚れすぎていて視界はこのような感じ。海沿いを走っているせいなのか、メンテナンスの問題なのか、実際のところ何でこんなに汚れるのだろうか。

蘇我駅で乗り換えた京葉線を新木場駅で降り、りんかい線を使って帰路に向かった。

終わりに

これを執筆している現在、651系はまだ健在である。特急列車に置き換えや配置転換などの目立った動きがないため、しばらくは運用が続くのだろう。しかし最近の情勢から学んだのは、乗れるうちに乗っておかないと、乗ろうと思っているうちになくなってしまう事がある、ということ。一昔前に華々しくデビューし、その面影の残る651系を体感せずに終わるのは勿体無い気がしたので、乗れるうちに乗っておけたのは良かったと思う。

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