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京急線の普通列車は終着駅までに何本に抜かれるのか?

京急線といえば、下町のようなところを快特が疾走するようなイメージがあるだろうか。一昔前までは、品川駅を5分おきに快特が発車していくという圧巻のダイヤ構成であった。その一方で、普通列車は優等列車から逃げるように、10分おきに品川駅〜浦賀駅間を走行している。駅間は品川駅〜浦賀駅で平均すると約1.2km程度と短く、こまめに停車することで地域の足を支えている。このように京急線は優等列車と普通列車の格差が大きい路線であると伺える。

普通列車は基本的に品川駅と浦賀駅を結んでおり、終点まで48駅を要する。そのような長距離運転の中で、一体何本の優等列車に抜かれるのか、気になったので実際に確かめてみることにした。

ちなみに、普通と快特の停車駅は上の写真のような感じとなっている。品川駅で撮った停車駅案内で、上の段が快特、下の段が普通。なんとなく駅数の差が感じ取れるだろうか。

さて、スタート地点は浦賀駅。浦賀駅に来たのは人生で2回目である。初めて来たのは2004年であり、何を隠そう、その時の目的も今回と全く同じである。前回は京急線に数回しか乗車したことがない状態だったのに比べ、それ以降に京急線を使用する機会が格段に多くなったため、今回はダイヤ構成や退避設備などについて知った状態で検証することになる。

今回は15時44分発にて品川駅まで乗り通す。京急は大まかには20分ヘッドのダイヤ構成のため、10分後の列車とは少し結果が異なるかもしれない。20分に1本のエアポート急行がどのスジに入るかが変わってくるはずである。

それにしても、京急本線の末端の駅ながら、発車案内に並ぶのは普通列車。優等列車のほとんどは堀ノ内駅から京急久里浜線に入って京急久里浜・三崎口方面に行くため、浦賀方面の末端は支線のような感じである。

乗車するのは1500形ということで、一本の白帯が入った真っ赤な車両。現在の京急の中で一番好きな車両である。

とりあえず先頭車両に乗り込む。浦賀駅は頭端式ホームで、改札が品川に向かって一番後ろにあるため、一番前の車両に乗車していたのはほんの数人であった。

浦賀駅からずっと複線のまま堀ノ内駅へ。駅の直前で久里浜線と合流。

堀ノ内駅で5分停車。1本目に追い抜く列車は、2100形の快特泉岳寺行き。乗客の多くがこちらに乗り換えていった。

堀ノ内駅から4駅目の逸見駅。ここは通過線を挟む形の2面2線で、上下線ともに退避できる構造となっている。堀ノ内駅を5分後に発車した特急が迫っているが、この駅での通過待ちはない様だ。ここで退避するのはダイヤが詰まる平日の朝などであろう。

三浦半島は山がちなので、しばらくは起伏の激しいこのような景色が続いた。トンネルもいくつか存在する。

逸見駅から5駅目、金沢文庫駅に到着。この駅では8分停車し、特急とエアポート急行との待ち合わせる。

2本目に抜かれたのは、2022年のダイヤ改正より昼間に登場した特急。そういえば追浜駅ではこの特急に乗るために普通列車をホームで見送る人が多かった。

続いて、3本目となるエアポート急行。都営車での運行であった。羽田空港駅と逗子・葉山駅を往復する都営車の運用はどのぐらいあるのだろうか。

金沢文庫駅から2駅目の京急富岡駅ではさすがに退避無し。そのまま上大岡駅まで普通列車が先行した。ここら辺から少し混み始めたが、座れないほどではない。

上大岡駅では7分停車し、快特の退避。1本退避するだけなのに、ずいぶんとのんびりとしたダイヤ構成になっている。

快特泉岳寺行きがやってきた(4本目)。こちらはステンレス車の新1000形でやってきた。時刻表上、2100形の2号車を座席指定にするウイングシートを設定しているA快特は40分おき、つまり2100形が確約される快特は2本に1本である。てっきり昼間は全て2100形が充当されているのかと思っていた。

上大岡駅を出てしばらくすると、イエローハッピートレインとすれ違った。アルミ車の新1000形が充当されている。

上大岡駅から3駅目の南太田駅。ここを出ると神奈川新町までしばらく退避できないので、南太田駅では基本的に退避イベントが発生する。上大岡駅を3分後に発車する特急青砥行きが抜いていった(5本目)。

なお、堀ノ内駅で抜いていった快特は、この時点で終点の泉岳寺駅に到着している時間である。それに引き換え普通列車は横浜駅すら到達できておらず、快特と普通の差を感じる。

南太田駅からは神奈川新町駅まで7駅、後続のエアポート急行から逃げるように走る。横浜駅が近づき、街並みもだいぶ変わってきた。写真は戸部駅と横浜駅の間にある平沼駅跡。

JR線の下をくぐり、左へ右へカーブしながら横浜駅へ入った。浦賀駅から横浜駅までで1時間11分。ようやく後半戦に突入する。ここからは快特なら120km/h運転の本領を発揮する区間だが、乗車する列車は相変わらず細々と停車していく。

神奈川新町駅ではエアポート急行の待ち合わせ。これで抜いていった列車は6本目。「エアポート急行」の種別、京急蒲田駅での誤乗のもとなので、空港方面にいくときだけエアポートを冠すれば良いように思う。ただ実際には、京急蒲田以北では快特とエアポート快特とで停車駅を区別しているため、そうはいかないだろう。

神奈川新町駅〜子安駅間は上りのみ2線になっている。今回はこの区間で走行しながらの追い抜きはなく、子安駅にてしばらく停車して快特を退避した。これで7本目。

子安駅から4駅目の京急鶴見駅。この駅は上り線のみ退避できる構造になっているが、列車は本線の方に入線した。この駅では待ち合わせはないようだ。今回のダイヤ改正の前は京急鶴見で退避していた。

京急鶴見駅から3駅で京急川崎駅に到着。この駅では特急の待ち合わせのため5分停車する。これまでもずっとそうであったが、優等が発車した直後に普通列車が発車するのではなく、まるで次の待避を調整するように、のんびり出発するダイヤになっている。

1500形の特急青砥行き。8本目。

1500形の側面は今どき珍しい字幕。1500形の車体と特急の幕が同じ色なので埋もれてしまっているのが違和感。

京急川崎駅から3駅、京急蒲田駅ではまた5分停車。ここでは羽田空港からやってきた快特京成高砂行きを先に通す(9本目)。空港線からの列車が合流するので、ここから先は快特・特急が1時間に12本走る区間になる。

京急蒲田駅から3駅目の平和島駅。今回のダイヤ改正時から、特急と接続させるためにわざわざ長時間停車するようになった。乗っていた列車は6分停車だが、20分サイクルのもう片方のスジでは9分も停車するようになっている。緩急接続での利用が前提となったダイヤ構成である。

まずは快特の泉岳寺行きの通過待ち(10本目)。A快特には3本抜かれたことになる。

そして特急印旛日本医大行きと待ち合わせ(11本目)。羽田空港からの列車なので、京成車や北総車が来ても良いのだが、京急車がやってきた。今回は最初から最後まで京急車と都営車にしか巡り会わなかった。

平和島駅から3駅目の鮫洲駅。特急系が高密度なだけあって、3〜4駅ごとに退避する。ここでは特急青砥行きが抜いていった(12本目)。退避できる駅はここが最後なので、特急青砥行きが最後の退避列車。

鮫洲駅で待っている間、羽田へ降りていく飛行機が見えた。夏場の夕方は都心ルートとなることが多い。

鮫洲駅から4駅で品川駅に到着。2時間12分の旅が終了した。後ろから快特が迫っているため、そんな余韻に浸るまもなく、降車確認を済ませた列車はさっさと引き上げ線に逃げていった。

というわけで、12本の列車に抜かれたというのが答えである。支線からの合流部はどう解釈するか悩むが、いずれも普通列車が先に到着し、優等を待った形になったのでカウントした。なお、最後に抜かれた特急は、浦賀駅を16時54分に発車する普通列車から堀ノ内駅で乗り継げる列車。つまり、1時間10分の差を抜かれたことになり、改めて優等列車と普通列車の格差が感じられた。

「普通は何本に快特に抜かれるか」なんて、時刻表で調べたら1発で答えが出るもので、わざわざ乗り通すほどのことではなかろう。ただ、実際に乗ってみると乗客の流動がわかったり、「わざわざ普通が長時間停車して緩急接続をとっている」状態を感じられたり、興味深いものであった(後者については賛否両論があるだろうが、何かを取れば何かが犠牲になるのは仕方がないので、とりあえずの近年の実態を踏まえた最適解ということなのだろう)。快特の前面展望にかぶりつくのも面白いですが、たまにはのんびりした旅もいいですよ?

(おしまい)

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